大雪の夜
午後になって大雪になった。
会社は16時に帰宅許可が出た。
箒で吐いたように、職場から人が去っていった。
最寄りの地下鉄の駅に行ったら、既に帰宅中の人々でホームがいっぱいだった。
電車は当然満員、途中の駅では乗れない人が多くいた。
最寄り駅から外に出ると、半端ない雪景色だった。
まるで雪の映画のセットのように見え、いつもの地元にいる感覚になれなかった。
電車の中でも人々は静かだった。
さらに街は雪の中なので、ほとんど音がしなかった。
近所では、家族で雪かきと雪だるまを作っていた。
突然、私服をきた女子中学生らしき仲間たちが、5ー6人で雪合戦しながら
「ヤバイ、やばい」と言っていた。
なんでこんな時に仲間で遊ぶのか分からず、思わず雪の精ではないかと
目を擦りそうになった。
このような大雪の日とか、関東大震災の日とか、苦難に会うと人々は静かになる気がする。
諦めの空気が人を覆うからだろう。
今晩は、皆、家でも静かにしてるんだろう。
僕もいつもより更に静かにしている。