秋と赤ワイン
いつものように、お彼岸を過ぎてぐっと秋が深まる。
秋といえば、まず「読書の秋」。
といっても実は暇つぶしなので、手当たり次第本を読んでいる。
今は、ハイデガーの「存在と時間」の入門用新書を手にとっている。
同時にフレディック・フォーサイスの「オデッサファイル」。これは面白い。
何で50年以上も生きてきてなぜ今初めて読むんだろうと、むしろ不思議な感じがする。
また、秋といえば「食欲の秋」。
普通マツタケ、とか浮かぶだろうが、その食材にそれほど縁がない僕は、先ずワインを思う。
夏の「白」から「赤」へ。そして、秋のキノコのイメージから、トリュフを想像し、そこから土のイメージでボルドーの赤を連想する。
はたして、キノコは赤は合うのだろうか?
ワインと合う食事は色が大事らしいが、キノコは上から見れば赤だが、下から見れば白ということになる。そうそう、思い出した。ポルチーニの大きな蒸し焼きしたキノコを、赤ワインに合わせた記憶がある! その記憶が焼き付いているのは、やはり相当美味しかったんだろう。
今夜は、スペインのワイン。地元デパートのワイン担当に聞いたところ、二千円近辺でイチオシだったが、やはり良かった。
あらゆる方向に花開いているので、つまみの刺激にも負けない。胡椒付きのビーフにもぴったりだ。
チーズも、カマンベールよりはスモーク気味のチーズの方がいいかもしれない。
ワインで多少いい気持ちになるが、その先はたまにピアノを弾くくらいだ。ただ、いい息抜きにはなっている。息抜きを超えて、ワインとか体調によっては、偶に「束の間の幸福」まで行き着く。もっとも、酒飲みは異口同音にそう言うだろうから、飲み過ぎ注意だが。
今日も夜は虫の音とともに更けてゆく。その内、丑三つ時には、虫も眠りについて鳴かなくなるんだろう。